レンヤ隊と三姉妹のデュエル理論講座
第一章 『モンスターの基本と通常モンスター』

じゃあ講義を始めるぞ
あれ、ルルミー姐さんは?
ウィーが必死に押さえている。今の内に進めるぞ
…何それ
さて、我々がハマっている地球のカードゲーム、遊戯王デュエルモンスターズオフィシャルカードゲームだが……
最近は5D'sってついた
そういやそうか。まあとりあえず、これから略してOCGと呼ぶ。
さて、OCGには大きく分けてカードの種類が三つあることはもちろん知ってるな? モンスター、魔法、罠
はーい
それぞれも中でまた区別があるんだが、基本的にはこの3つだ。
その中で、基本的にデッキの半分近く、たまに半分以上を占めるのがモンスターカードだ
デッキが40枚として……10枚以下とか、30枚以上ってのはナシ?
かなり特殊なデッキならあり得るぞ。モンスターが大量にいるデッキもあるし
…バーサーカーソウル
あれは現実には存在しないカードだ
HA☆NA☆SE!
やめてくださいルルミー姐さん、とっくに僕のライフはゼロです!
ウォォォォォォォ!
…現実に存在してる
無視しろ。さて、初心者の内は、特に殴り合いの分かりやすいデッキなら適正枚数を守っておけ
殴り合いならモンスター多い方がいいんじゃないの?
そこでモンスターの召喚の話だ。大きく分けて通常召喚、特殊召喚があるわけだが、基本は通常召喚になる
1ターンに1体出せるんだよね?
そうだ。逆に言うと1体までしか出せない。大量にあっても手札に余るわけだ。
…少なくしたら、今度はすぐになくなって出せなくなる?
そうだ。わかりやすさの為に話をかなり単純化するが、毎ターンモンスターを通常召喚できるぐらいのバランスがちょうどいい。
最初のドローも入れると、最初の手札は6枚だろ? 半分がモンスターとすれば期待値は3枚だ
2枚余っちゃうよ?
その後のターンも必要だろ?
 毎ターンのドローで引いてくる期待値が0.5枚なら、2、3ターン目にはモンスターを2体召喚、1体補充の計算になる
…すると1枚減って残り1枚
つまり、そこからさらに2ターン、つまり5ターン目までは計算上毎ターン通常召喚できるな。
その頃にはコンボが成り立ったり蘇生カードを使ったりする頃になってるから、後はいいだろう
そっか、最初の「事故ったー!」ってのが少なくなるんだね!
これがモンスター15枚のデッキだと、初期手札のモンスター数期待値が2.25枚、その後のドローで引く期待値は0.375枚だ
ええ、えええと?
…同じように使うと、3ターン目にモンスターが尽きます
えーっ、全然違うじゃん!
だな。これは5枚違う場合の計算だが、1枚や2枚でも確かに変化はある。
だから、たとえ速攻で終わるデュエルでも、デッキ全体の構成というのは重要ってことだ。
それだけわかればいいから、数字で頭を抱えるな
数字嫌いーっ でも今の話はわかったよ!
次は、生贄召喚の話だな
…今はアドバンス召喚です
む。じゃあ現在の正式用語を使うか
ウィー! お前はあたしの野望の為のアドバンスとなれ!
文法おかしいですって!
…モンスターにはレベルがあり、レベル5以上はアドバンス召喚が必要になる「上級モンスター」だ。
レベル5・6は1体レベル7以上は2体のモンスターを召喚時に、ええと…
リリース
リリース、つまり墓地に送らなければならない。いいかエウリア。《青眼の白龍》は8レベルだから、相当出しにくいぞ
そっかー、そういやそうだった
…さっきの毎ターン1回の通常召喚権利の話を踏まえると、ほんと無駄
だから通常召喚することはむしろまれで、特殊召喚を狙うべきだな。まあこれは墓地の講義で話そう
はい、質問っ! どのレベルのモンスターを何枚ぐらい入れたらいいんですか!
一概には言えないが、レベル7以上のモンスターは、相当デッキ全体がサポートしないと苦しいぞ
じゃあ、普通に入れるのは1枚か2枚とか?
普通、と言うなら0枚でもいいぐらいだ
えーっ!
だが、今はサポートの方法がいくらでもあるからな。また紹介するが、5枚以上あるデッキだって成立するぞ
レベル5・6のモンスターは?
これも少な目がいいが、「帝」シリーズを中心に、強力な効果でアドバンス召喚のロスを取り戻すカードもかなり多い。
その場合は少し枚数があっても耐えられるだろう。
あと、《サイバー・ドラゴン》のように上級でありながら下級モンスター並やそれ以上の展開力を持つ、
半上級モンスターってやつもいるな
結局、レベル4以下が中心ってこと?
そうだ。詳しい配分はまた各デッキで見ていくがな。さあ、最後はデッキを一つ作るぞ
えーっ! 初回なのに!? カードの効果をまだ知らないのが多いから自信ないよう
…あ、だから通常モンスターですか?
ああ、効果の無いモンスターカードを使う。シンプルさから、バニラと呼ばれるモンスター達だ
えっ、効果無しなんていらない子じゃない?
切り替えが速いなお前も…そもそも、最初はみんな効果なんてなかったぞ
…そんなカードゲーム、面白いんですか?
その質問は答えづらいので見逃し三振だ。
さて、通常モンスターは確かに効果は無いが、安定した高いステータスと、通常モンスターをサポートするカードの豊富さで、
充分実戦で戦えるポテンシャルを秘めたモンスター達だ。
わかった! レベル4で、攻撃力が1900とかのやつだ!
そう、そのレベルにおける攻撃力の基準となっているのが通常モンスターだからな。
レベル4:1900(1枚だけ2000)、レベル5・6:2500(1枚だけ2600)、レベル7以上:3000。
これが通常モンスターの各レベルの上限となっている。
効果モンスターでこれを上回る攻撃力を持ったやつは、効果は効果でもデメリットだったりすることが多いな。
…通常モンスターでデッキを組むと、同じレベル同士の戦いに有利、ということですか?
でも、攻撃力で勝ってても特殊能力がないとやっぱずるずると負けちゃうんじゃ?
そこは、魔法・罠でカバーだ。じゃあ早速デッキを作るぞ。練習用なのでエウリアでも使える異様に簡単なデッキだ
いやったーっ!
…そこ喜ぶとこ?
デッキ001:練習用デッキ『バニラの大地』

モンスター(19枚)
フロストザウルス×2枚
甲虫装甲騎士(インセクトナイト)×3枚
剣闘獣アンダル×3枚
ヂェミナイ・エルフ×3枚
セイバーザウルス×2枚
ジェネティック・ワーウルフ×3枚
エーリアン・ソルジャー×3枚

魔法(13枚)
抹殺の使徒
凡骨の意地
団結の力
大嵐
光の護封剣
闇の量産工場×2枚
ライトニング・ボルテックス×2枚
ハリケーン
ガイアパワー×3枚

罠(8枚)
凡人の施し×2枚
正統なる血統×2枚
ジャスティブレイク×2枚
サンダー・ブレイク×2枚
う、でもややこしそうなのもある…
「本当に」ややこしいのは入れてないから心配するな。相手のカードを利用するようなのもオミットした
《凡骨の意地》は確かややこしい処理が?
あれは二枚並べた場合だ。一枚しか入れてないからノン・プロブレム
そんな配慮が…
うん、魔法や罠の効果も破壊とかが多いんでわかりそう!
基本的に、レベル4通常モンスターで殴ればいい。
《ガイアパワー》で攻撃力を底上げしたらそうそう負けることはない。
もし相手の方が高ければ《ジャスティブレイク》で処理しろ
おお、これ強っ!
厄介なモンスターや魔法・罠は《ライトニング・ボルテックス》《サンダー・ブレイク》で処理。
そのコストは《闇の量産工場》で回収した通常モンスターで賄うといい。
あと、《凡人の施し》は手札に通常モンスターが余ってる時に使用して手札を回せ
すとっぷ! これ以上は頭に……
これぐらいでいい。とりあえずそのへんの整備員捕まえてデュエルして来い
よっし、いっくよー!
…こんなので勝てるのかな?
(数十分後)
レンヤさん、楽しかったよ! 1勝3敗だけど、1回勝てたし他もいい勝負できたよ!
だろ? まあ相手もわざとお前のデッキに強いデッキを選ばないぐらいの配慮はしたと思うが、
このカードゲームは、これぐらい単純でも結構楽しめるし、勝てるものだ
うーん、ハマりそう!
…ところでレンヤ隊長、《死者蘇生》は?
それに《ジャスティブレイク》より《聖なるバリアミラーフォース》の方が……
入れなかった理由はあるが、気になるか?
うん
えー? なんでー?
じゃあ次の講義は制限カードについてだな。
魔法・罠カードの構築には必須要件であるし、
この講義での俺のデッキ作成ポリシーについても説明しておくべきだろう
今日は終わりだね! お疲れ様でした!
じゃあエウお姉ちゃん、対戦しよう。私ウィーさんに見てもらってちょっと改造したよ
おっ、かかってきなさーい!
(数分後)
怒りの業火エクゾードフレイム…
死んだーっ! ちょっとじゃないじゃーんっ!
【凡骨エクゾディア】だな。バニラも奧が深いぞ……
ぼ、僕の青眼の白龍が、ぜ、んめつめつめつ……! よくもやってくれたなウィー!
姐さんそのデュエルとは1_も関係ないでしょう!?


続く。